COVER STORY

北京特集 Part1

「老有所楽」

公園は、老人天国

自衛する北京の長寿術

photos : Hitoshi Iwakiri
text : Junko Haraguchi
 定年退職後の楽しみとして、天壇公園西門付近で毎朝踊る「水兵舞」のチーム。
 お揃いのマリン調制服にサングラスが目印。中国では退職年齢の平均は50代前半、日本より一回り早い。チームの平均年齢も意外と若く50代が中心。
 こんな楽しそうな50代ってアリ!?
 ダンスチームには男子も多い。
 男と女で成り立つダンス、それは、もしかして官能のひと時……。
 毎朝、踊って肌はツヤツヤ。
 ダンスの健康増進力に納得。
 退職後、ダンスチームに参加して1年の王さん。
 御年58歳。退職後にも毎日行く場所と仲間がある。姿勢にも心のハリが感じられます。
  ダンスチーム「水兵舞」の先生役を務める穆さん、53歳(左)と郭さん51歳(右)。
 穆さんはもと市バスの運転手、郭さんはもと図書館の職員。二人とも在職中からダンスを習い、退職後は公園に本格デビューしたという。
 「ほら、こんなふうに!」とみんなを指導。人生の旬はもしかして今!?
 素顔の穆さんと郭さん。
 街にふつうにいそうな女性だが、コスチュームを纏い、サングラスをかけて踊りだすと凄いのだ。
 他者の視線は美と健康の源! みんな撮影には慣れているので、カメラを向けられると気分は高揚!
 ダンス音楽の基本はチャイニーズ・ポップス。それにさまざまなダンスのステップを自由に組み合わせる。
 公園を訪れた観光客も隅っこのほうで一緒に踊ってもぜんぜんOK。
 秋深まる天壇公園に集合してくれた「水兵舞」チームのみなさん。
 毎朝、踊るだけでなく時にはアマチュアダンスコンクールに参加したり、一緒に旅行したり、日々、アクティブだ。
 美と健康を増進、仲間もでき、しかもお金はほとんどかからず、良いことずくめの公園ダンス。
(あなたも明日からいらっしゃい、といわれて心揺れました)
 世界遺産で知られる天壇公園にはその敷地のなかに近年、たくさんの健康器具が設置されている。
 それはまさに大型青空ジム。北京五輪開催期から国家体育局がスポーツくじの公益金を使って国民の健康増進のために進める「全民健身路径工程」と呼ばれる大型プロジェクトだ。
 次々と増設される青空ジムがスーパーシニアの誕生を後押し。
 キリリとした表情とこの美しいポージングに目を奪われる。
 石さん、67歳。50歳で退職後、毎朝1時間、公園の健康器具を使って運動しているそう。
 テレビの健康番組などを参考に自分で考案した鉄棒体操が自慢。
 体操が終わったら家に戻って9歳の孫の面倒をみたりしている。孫の小学校への送り迎えが日課、毎日かなり忙しい。
 公園の青空ジムは、スーパーシニアの楽園だ。お互いに競いあい、コミュニケーションをはかることが、健康状態を高めあっていく。
 自然と仲間になり、刺激して、励ましあいことができるのも「公園」の魅力。
 10月の北京はもう肌寒い季節。
 なのにこのお方といったら……まさにスーパーシニア!
 退職後20年近く運動を続けているという張さん、77歳。
 天壇公園は、自宅から自転車で15分、毎朝通っている。驚愕のカラダ、そして心の柔らかさ。
 器具を使ったストレッチのあと、「羽根蹴り」の輪に入る張さん。
 鉄棒のストレッチだけでも凄いなーと目を見張ったのだが、実はそれは準備運動、第二弾があったのだ!
 羽根蹴りは、北京伝統の遊びで、銅銭などを布で包み、そこにニワトリの羽を挿した遊具を蹴って遊ぶ。
 蹴鞠のようにグループで遊んだり、サッカーのリフティングのように一人で連続して蹴り続ける遊び方もある。
 張さん、スイスイと遊び続けているが、実は羽根蹴り、身体の柔軟性と高い反射神経が要求されるのだ。
 天壇公園内のおすすめ歩行ルートの案内看板。全長2㎞。そのルートは名付けて「健康大道」。ダンスや器具を使うほか、ふつうに散歩しているシニアも多い。歩くことはまさに「健康大道」!納得のネーミング。至るところで「公園」→「健康」の強い結びつきを感じます。
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