MIRAI
山本左近の未来考察『医療福祉×テクノロジー』
第1回

僕らがイノベーションを
起こすべき理由

考えられないようなことが、現実に起こっている

「日本にはイノベーションを起こす差し迫った必要性がない」
社会を変える画期的な商品やサービスが、日本からなかなか生まれない理由として、時折このような意見を耳にします。でも、本当にそうでしょうか。少なくとも「医療福祉の分野は違う」と僕は断言します。

医療福祉においては、差し迫った必要性がすでに到来しています。言うまでもなく、それは少子超高齢社会のことです。日本は世界に先駆け、超高齢社会に突入していますし、近代史上初めて、人口減少をすでに迎えているのです。

ここでいったん整理しておきますが、もっとも重要な課題は高齢化ではなく、少子化だと考えています。おさらいしておきたいのが、人口構成です。
日本の総人口は1950年以降、8,411万人から右肩上がりで増加し、1967年に1億人を超え、1985年から今日に至るまで1億2,000万人をキープしています。ここで注目すべき点は2つです。
1つは高齢化です。総人口に占める高齢者人口の割合は1985年は10%でしたが、5年ごとに2~3%ずつ伸びていて、現在は27.7%。これは今後も伸びると予測されています。そして、もう1つの注目すべき点は、2008年の1億2,808万人をピークとして、人口減少社会を迎えているということです。
出典:2015年までの総務省「国勢調査」、
国立社会保障・人口問題研究所による推計

総務省の確定値では、2017年11月1日時点で1億2,671万人。この10年間で137万人の日本人が減少したことになります。ちょうど長崎県の人口が137万人なので (2015年の「国勢調査」より)、住民全員相当の人がこの10年でいなくなったということになるのです。
出典:2015年までの総務省「国勢調査」、
国立社会保障・人口問題研究所による推計

考えられないようなことが現実に起こっています。こうして具体的な数値で見ると、少子超高齢社会がいかに衝撃的なことかと感じずにはいられません。

イノベーションによって、向いているベクトルを変化させる

また、社会保障費の話と非常に関係が深いGDPについても見てみましょう。高度経済成長以降、「勤勉さと戦後復興の頑張りとで、経済大国にまでのし上がった」というストーリーをよく聞きます。この事実を否定するつもりはありませんが、もうひとつ、忘れてはならないこともあるように思います。

それが、総人口と経済の関係性です。GDPの年次推移を見てみると、1990年代までは、日本の経済成長のグラフと日本の総人口のグラフがまったくの正比例であることがわかります。日本人の勤勉さ+人口増加という構造があったからこそ、私たちは今の日本で生活できているとも考えられるのです。

少子化によって人口が減少していく。逆に、長生きする高齢者が増えていくことによって、社会保障費の負担額が増えていく。1990年は高齢者1人を支えるのに5.1人いたところが、2025年では1.8人になり、2050年には1.2人で1人を支えるという図式になります。
出典:財務省「2017年版高齢社会白書」

ますます高齢化が進み、社会で支えていかなくてはならない方々が、爆発的に増えていきます。その一方で、2025年には介護職は37万人必要だと言われています。

現実的に考えると、労働人口が減少しているなかで、37万人もの働き手が介護職に就くとは到底考えられません。外国人人材に頼る必要はありますが、すべての労働力を外国人で賄うことも、日本という特性上スムーズにいくとは考えにくいでしょう。

これほどまでに課題は明確で、イノベーションを起こす差し迫った必要性があるのです。今、イノベーションを起こさなければ、持続可能な社会を築くことは困難を極めることになりますし、この素晴らしい日本を次世代へ引き継ぐことも難しくなるように思います。

僕は、持続可能性とは今あるものを節約して使い続けることではなく、イノベーションによって、向いているベクトルを変化させ、より良い未来へ向かっていくものと考えています。
誰もが幸せに生きていける社会「超”幸”齢社会」をどのようにデザインし、どのようにヒト、モノ、コトをつないでいくのか。僕らに残された時間はそれほど多くありません。

関連記事

back to top